賞金を配分するeスポーツ大会を開催するには―②風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)との関係

 賞金を配分するeスポーツ大会は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営法」といいます。)上の風俗営業に該当し、風営法の各種規制が適用される可能性があります。

 風営法第23条第2項は、「第2条第1項第4号のまあじやん屋又は同項第5号の営業を営む者は、前条第1項の規定によるほか、その営業に関し、遊技の結果に応じて賞品を提供してはならない。」と規定しており、遊技場営業者の営業に関し、遊技の結果に応じて賞品を提供することを禁止しています。

 そして、「同項第5号の営業を営む者」とは、具体的には、「スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る。)を備える店舗その他これに類する区画された施設(旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く。)において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業(前号に該当する営業を除く。)」を営む者をいいます(風営法第2条第1項第5号)。

 したがって、
 ①テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるものを備える
 ②店舗その他これに類する区画された施設において
 ③当該遊技設備により客に遊技をさせる営業を営む
 者は、その営業に関し、遊技の結果に応じて賞品を提供してはならないことになります。

 ①について

 「テレビゲーム機」には、勝敗を争うことを目的とする遊技をさせる機能を有するテレビゲーム機等がこれにあたるとされています(風営法施行規則第3条第2号、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準(平成30年1月30日警察庁丙保発第2号等))。
 eスポーツ大会で会場に設置するゲーム機は「勝敗を争うことを目的とする遊技をさせる機能を有する」ものであることから、①には該当します。

 ②について

 「店舗」とは、社会通念上一つの営業の単位と言い得る程度に外形的に独立した施設をいい、区画された施設がビルディング等の大規模な建物の内部にある場合でも、この独立的性格を有するときには、「店舗」に当たります。
 「店舗に類する区画された施設」とは、いわゆるゲームコーナーのように「店舗」に当たらない区画された施設で、営業行為の行われるものをいい、例えば、旅館、ホテル、ショッピングセンター等の大規模な施設の内部にある区画された施設をいいます。

 賞金を配分するeスポーツ大会は、通常、大規模なイベントホール等の全体又は一部を区画して実施されますので、社会通念上一つの営業の単位と言い得る程度に外形的に独立した施設と考えられ、「店舗」に当たります。
 もっとも、屋外にあるもの等「店舗その他これに類する区画された施設」に当たらない場所において客に遊技をさせる営業は、本号の対象とはなりません。
 そこで、常設ではない施設(野外の仮設など)で大会を開催するという手段が考えられますが、大会が2日以上にわたった場合はその場所が常設の施設とみなされる可能性があります。eスポーツ大会は2日以上にわたって開催されるケースも多く、風営法の規制対象となる可能性が高いといえます。

 ③について

 「営業」とは、財産上の利益を得る目的をもって、同種の行為を反復継続して行うことを指します。営業としての継続性及び営利性がない場合は、「営業」には該当しないものと考えられます。
 したがって、1回限りのイベントとしてeスポーツ大会を開催する場合には、「営業」に該当しないことから、風営法の規制対象にはなりません。
 他方、eスポーツ大会を営利目的で繰り返し開催するような場合には、「営業」に該当しますので、風営法の規制対象になります。

 以上のことから、
 ゲーム機を備える常設の施設において、賞金を配分するeスポーツ大会を「営業」として開催する場合には、風営法上の風俗営業に該当し、遊技の結果に応じて賞金を配分することは風営法第23条第2項に違反するため、認められません。
 一方で、野外の会場などの仮設の施設において、1回限りのイベントとして開催する場合には、風営法上の風俗営業に該当せず、風営法の規制対象にはならないものと考えられます。

 なお、eスポーツ大会の開催が風営法上の風俗営業に該当する場合、当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会の許可を受けなければならず(風営法第3条第1項)、構造設備が基準に適合するようにすること(風営法第12条)、年少者を夜に客として立ち入らせることの禁止(風営法第23条第1項、同条第2項、各地方自治体による条例等)、深夜営業の禁止(風営法第13条第1項)、会場の照度を一定以上の照度にすること(風営法第14条)、騒音振動を一定の水準以下にすること(風営法第15条)、清浄な風俗環境を害するおそれのある方法での広告・宣伝の禁止(風営法第16条)等、営業内容に各種規制が生じ、これらを順守する必要があります。

 現時点では、賞金を配分するeスポーツ大会の実施を検討する場合、個別具体的に、管轄公安委員会に対する事前照会を行い、適法性を確認することが実務上安全です。

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この記事を書いた人

〔経歴〕
京都大学 大学院法学研究科 法曹養成専攻修了

〔資格〕
弁護士
公益財団法人日本スポーツ協会公認スポーツリーダー

〔所属団体〕
日本弁護士連合会
京都弁護士会
中小企業法律支援センター運営委員会

〔メッセージ〕
日々努力と研鑚を重ね、常にプロフェッショナルとしての気概を持って、一つひとつの案件に誠実に取り組んで参ります。クライアントの皆様の具体的状況を的確に把握して深い洞察を提供し、皆様からの信頼により一層応えられるように尽力いたします。

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