賞金を配分するeスポーツ大会を開催するには―③興行場法との関係

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 賞金を配分するeスポーツ大会は、興行場法上の興行場営業に該当し、興行場法の各種規制が適用される可能性があります。

 興行場法は、「映画、演劇、音楽、スポーツ、演芸又は観せ物を、公衆に見せ、又は聞かせる施設」を「興行場」と定義し(興行場法第1条第1項)、業として興行場を経営しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならないと規定しています(興行場法第2条第1項)。

 具体的に興行場法の適用を受ける興行場は、映画館、劇場、寄席、音楽堂、野球場、見世物小屋等の施設です。
 したがって、これらの施設に大型スクリーン等を設置してeスポーツ大会を開催し、公衆に観覧させる場合、当該会場は「スポーツ」を「公衆に見せ」る施設として「興行場」に該当すると考えられます。

 もっとも、「業として」興行場を経営しない場合は、興行場法の適用はありません。「業として」とは、反復継続の意思をもって行われることをいい、一定の施設が興行場として反復継続して使用される場合(おおむね月4回程度以上)には、許可を必要とします(「興行場法の疑義について」(昭和33年9月5日衛環発第74号))。
 したがって、eスポーツ大会を開催する施設を興行場として反復継続して使用しない場合(おおむね月4回程度未満)は、「業として」興行場を経営しようとする者に該当せず、都道府県知事の興行場営業許可を受ける必要はないと考えられます。
 他方、eスポーツ大会を開催する施設を興行場として反復継続して使用する場合(おおむね月4回程度以上)は、「業として」興行場を経営しようとする者に該当し、都道府県知事の興行場営業許可を受ける必要があります。

 なお、興行場営業許可を受ける場合、興行場となる施設が、都道府県の条例(京都府であれば「興行場の設置場所の基準等に関する条例」)で定める構造設備基準に従っていなければなりません。また、興行場の運営は、都道府県の条例で定める換気、照明、防湿、清潔等の衛生基準に従っていなければなりません。

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この記事を書いた人

〔経歴〕
京都大学 大学院法学研究科 法曹養成専攻修了

〔資格〕
弁護士
公益財団法人日本スポーツ協会公認スポーツリーダー

〔所属団体〕
日本弁護士連合会
大阪弁護士会

〔メッセージ〕
日々努力と研鑚を重ね、常にプロフェッショナルとしての気概を持って、一つひとつの案件に誠実に取り組んで参ります。クライアントの皆様の具体的状況を的確に把握して深い洞察を提供し、皆様からの信頼により一層応えられるように尽力いたします。

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